2026年9月29日

作品として載せる前に、許可を取る

著作権は撮った側にあります。でも、それだけでは載せられません。許可の取り方と、後から「消して」と言われたときの話。

いい写真が撮れた。サイトの作例に使いたい。

著作権はこちらにあります。それでも、そのまま 載せることはできません。

足りないのは肖像権のほう

著作権は「その写真という表現」の権利で、撮った人のものです。 肖像権は「写っている人の姿」の権利で、写っている本人のものです。

作品として世に出すというのは、その人の姿を公開するということなので、本人の許可が要ります。自分で撮った写真でも 同じです。

詳しくは 1 枚の写真に、権利は 2 つある に書きました。

いつ聞くか

先に聞く+断られても撮影前なので気まずくない+範囲を決めて残せる+後から蒸し返されにくい−申し込みの説明が 1 項目増える後から聞く+いい写真が撮れてから頼める−断りにくい空気で頼むことになる−納品後は連絡が付きにくい−断られたら使えない
撮った後に頼むと、断りにくい空気で聞くことになる。

撮影前です。申し込みの時点で聞いておけば、相手は 普通に断れます。

撮った後だと、お世話になった人からの頼みごとに なります。断りにくい状況で取った「はい」は、後から 「本当は嫌だった」に変わりやすい。

聞き方

「作品として使わせてもらえませんか」だけでは、相手は判断できません。どこに、どう出るのかが分からないからです。

範囲を区切って聞きます。

  • どこに出すか(サイトの作例、Instagram、紙のパンフレット)
  • 顔が写るものを含むか
  • 名前や撮影場所を出すか(普通は出しません)
  • やめたくなったら、いつでも言えること

最後の 1 行が効きます。「後から取り消せる」と分かっていると、人は承諾しやすい。取り消せない約束だと思うから、身構えます。

書面で残す

契約書でなくて構いません。申し込みフォームのチェック欄か、 メールの 1 往復で十分です。口頭だけは避けてください。本人は覚えていても、数年後に配偶者やお子さんから言われることが あります。

子どもの写真は、もう一段慎重に

許可を出すのは保護者ですが、写っているのは本人です。 その子が大きくなったとき、自分の写真が知らないところに出ていると 知ってどう思うか。

法的には保護者の同意で足ります。ただ、ここは法律の話として処理しないほうがいい領域だと思います。

  • 顔がはっきり分かるものは避け、後ろ姿や手元にする
  • 通っている園や学校が分かるもの(制服、看板)は外す
  • 撮影場所が特定できる情報を一緒に出さない

これだけで、載せられる写真はかなり残ります。

「消してほしい」と言われたら

理由を聞かずに消してください。

許可を取っていても同じです。肖像権は本人のもので、 気が変わることも含めて本人のものです。「一度許可したはずです」は、ここでは通りません。

揉めて得るものは何もありません。作例は撮り直せますが、 評判は撮り直せない。

消しやすくしておく

どの写真がどの撮影のものか分からなくなっていると、「全部消す」しか選べなくなります。

作例に使った写真は、撮影ごとにまとめておいてください。 言われたときに、その回のぶんだけ外せます。

載せられないなら、載せない

許可が取れない撮影もあります。そのときは載せない。それだけです。

「バレないだろう」で載せた 1 枚が見つかったときに失うものは、作例 1 枚の価値よりはるかに大きい。写真で食べている人が 他人の権利に無頓着だった、という話になるからです。

許可の取れた写真だけで作例を組む。少なくても、そのほうが強い。

この記事は一般的な整理で、個別の事案を判断するものではありません。 争いになりそうな場合は弁護士にご相談ください。写真の納品・販売 サービス Utsurie(うつりえ) では、納品したギャラリーは共有リンクを知っている人だけが見られる 形になっており、検索には出ません。