新緑の並木道を歩く家族

撮影の売上を、帳簿にどう書くか

手取りの金額だけを売上に書くと、数字が合わなくなります。決済手数料とサービス手数料の扱い、経費になるもの、申告までの段取り。

3,000 円の写真が売れて、口座に 2,700 円入った。帳簿に「売上 2,700 円」と書きたくなります。

これが、いちばん多い間違いです。

売上は、お客様が払った額

お客様が払ったのは 3,000 円です。そこから手数料が引かれて 2,700 円に なっただけで、売上は 3,000 円、経費が 300 円。 この 2 行で書きます。

書き方売上経費利益
手取りだけ書く2,700 円0 円2,700 円
正しい書き方3,000 円300 円2,700 円

利益はどちらも同じです。なのに、なぜ分けるのか。

  • 売上の規模が実態より小さく出る。融資や補助金の審査で効きます
  • 手数料が上がったときに、気づけなくなります
  • お客様に渡した領収書は 3,000 円。食い違いが残ります

そして消費税の課税事業者になる境目(売上 1,000 万円)も、 手取りではなく売上で判定します。手取りで記録していると、 その手前にいるつもりで超えていた、ということが起こります。

手数料が 2 種類ある場合

納品サービスを使っていると、引かれるものが 2 つあることがあります。

  • 決済手数料 ── カード会社・決済代行に渡るぶん
  • サービス利用料 ── 納品サービスの運営に渡るぶん

どちらも経費ですが、勘定科目が違います。決済手数料は 「支払手数料」、サービス利用料は「支払手数料」または「通信費」 「外注費」など、サービスの性質によって変わります。

合算して 1 行にしても申告は通りますが、分けておくと「どちらが増えたのか」が後から分かります。料率を比べて乗り換えを考えるときに、この 1 行が効きます。

率ではなく実額で記録する

「3.6% だから 108 円」と計算して書かないでください。端数の処理で 1 円ずれます。実際の明細が 107 円なら、 帳簿は 107 円です。

1 円なら構わないと思うかもしれませんが、件数が増えると口座の残高と帳簿が合わなくなり、 どこでずれたのか探すことになります。明細が落とせるサービスなら、その数字を使ってください。

経費になるもの

もの科目の例注意
カメラ・レンズ消耗品費/工具器具備品10 万円以上は原則、数年に分けて計上
SD カード・バッテリー消耗品費—
現像ソフトの月額通信費/支払手数料年払いでも、その年のぶんとして扱えます
納品サービスの手数料支払手数料決済手数料と分けると後で読める
撮影場所までの交通費旅費交通費自家用車ならガソリン代を按分
ドメイン・サーバー通信費—
自宅の家賃・電気代地代家賃/水道光熱費仕事に使っている割合だけ(家事按分)

10 万円の壁だけは覚えておいてください。1 つで 10 万円以上のものは、買った年に全額を経費にできないのが原則です。 レンズ 1 本 15 万円を「消耗品費」で落として、後から指摘される例が よくあります。

いつ何をするか

1 年の流れ毎月売上と経費を入れる12 月末その年の締め1 月数字を固める2/16〜3/15申告・納付
1 月に 1 年ぶんをまとめようとすると、領収書を探すところから始まります。

毎月やるのがいちばん楽です。1 か月ぶんなら 30 分で 終わりますが、1 年ぶんをまとめると丸 2 日かかります。しかも 2 月は撮影の閑散期ではありません(卒園・卒業が入ります)。

月末にやること

  • その月の売上を、明細から写す(手取りではなく売上額)
  • 引かれた手数料を経費に入れる
  • レシートを撮って、日付と用途を書く

CSV で落とせるサービスなら、その 1 ファイルで売上と手数料が揃います。手で打ち直さないこと。打ち間違いは必ず起きて、 合わない原因としていちばん見つけにくい種類です。

開業届と青色申告

撮影の売上が続くなら、開業届を出して青色申告にするほうが有利です。控除額が 10 万円と 65 万円で違います。

ただし青色申告は事前の届出が要ります。その年のぶんを青色でやりたいなら、原則その年の 3 月 15 日まで (開業した年は開業から 2 か月以内)。年が明けてから「去年のぶんを青色で」はできません。

65 万円の控除には複式簿記と電子申告が要りますが、会計ソフトを 使っていれば、意識せず条件を満たしていることがほとんどです。

一緒に撮った人への支払い

アシスタントやセカンドカメラマンに払ったぶんは経費(外注費)です。 ただし支払った相手・日付・金額が分かる記録が要ります。現金で渡して何も残していないと、経費として認められません。

金額が大きくなるなら、源泉徴収が必要かどうかも変わります。ここは人によって答えが違うので、調べるより聞いたほうが早い部分です。

この記事は一般的な整理で、個別の処理を判断するものではありません。 科目の立て方や按分の割合は事業の形によって変わります。金額が 大きくなる項目や、源泉徴収・消費税が絡む場合は税理士にご相談ください。