フィルムカメラを両手で構えている手元

撮影データを失わないための、最低限

カードが読めない。外付けが回らない。どれも「いつか」ではなく「いつか必ず」起きます。撮り直しがきかない仕事のための、いちばん軽い備え方。

帰ってカードを挿すと、読めません。何度か抜き差しして、別のリーダーを 試して、それでも出てこない。

その日の撮影は、もう二度と起きません。七五三も、お宮参りも、結婚式も。

「消えたとき」ではなく「気づいたとき」に失う

壊れたカードやドライブは、壊れた瞬間に教えてくれません。次に開こうとしたときに分かります。納品の直前、あるいは半年後の焼き増しの依頼で。

だから「まだ壊れていないから大丈夫」は何の根拠にもなりません。確かめた日の状態しか分かっていないからです。

現場でやる、2 つだけ

撮り終わったカードは、物理的に分ける

使い切ったカードと、まだ空のカードを同じケースに戻さないでください。入れる場所を分けるだけで、上書きの事故がほぼ消えます。裏返して入れる、でも構いません。決めた形を毎回同じにするのが要点です。

その場でフォーマットしない

「容量が足りない」と思ったときが一番危ない瞬間です。カードは安いので、増やしてください。撮影 1 件ぶんの売上と、カード 1 枚の値段を比べれば答えは出ます。

家でやること

バックアップの世界には 3・2・1 という言い方があります。複製を 3 つ、2 種類の場所に、うち 1 つは家の外に。

この仕事の言葉に置き換えると、こうなります。

1カード(撮ったまま。まだ消さない)2パソコンへ写す(作業用)3外付けへ写す(保管用)4家の外へ写す(クラウド・別の家)
ここまで終わるまで、カードは消さないこと。「あとで消す」と決めた瞬間に、消し忘れではなく消し急ぎのほうが起きます。

順番が大事です。外まで行き着いてから、初めてカードを フォーマットします。「パソコンに入れたから消す」が、いちばん多い 失い方です。

なぜ「家の外」が要るのか

パソコンと外付けを並べて置いていると、同時に失う原因のほうが多いのです。

置き場所何で失うか
カード書き込み中の抜き差し、紛失、寿命。いちばん儚い
パソコン故障、盗難、うっかり削除、ランサムウェア
同じ部屋の外付け火事、水漏れ、落雷、盗難。パソコンと一緒に失う
家の外(クラウドなど)契約の失効、支払いの止まり。物理的な事故では消えない

うっかり削除とランサムウェアは、複製にも伝染します。自動で同期している先は、消した状態も同期します。過去の版に戻せる 仕組み(バージョニング)があるかを、契約する前に見てください。

いちばん壊れるのは外付け HDD

中で円盤が回っています。動く部品があるものは必ず壊れます。落とさなくても、3〜5 年で寿命が来ます。

「バックアップ用の外付けが 1 台だけ」は、バックアップではありません。その 1 台が壊れる日に、元データも無いかもしれないという賭けをしています。

  • 外付けは 2 台にして、片方は普段つながない(つないだままは道連れになる)
  • 年に 1 回、実際に開いて写真が出るか確かめる
  • 買い替えは「壊れてから」ではなく、3 年で予定に入れておく

年に 1 回、必ず開いて確かめる

写したつもりで写っていない、が普通に起きます。途中で止まった、フォルダを選び間違えた、容量が足りずに一部だけ入った。開いて写真が出るまでは、バックアップがあるとは言えません。

戻すのは、とても高い

壊れたカードやドライブからの復旧は、業者に出して数万円から数十万円。しかも戻らないことがあります。成功報酬の業者でも、 診断だけで数日かかります。

カード 1 枚と外付け 1 台の値段と、これを比べてください。備えのほうが桁違いに安い。

いつまで持っておくか

全部を永遠に持っておくことはできません。増え続けるので、いつか 必ず破綻します。

保管期限を先に決めて、相手に伝えておくこと。そうすれば「まだ落としていないかも」と思いながら持ち続けずに済みます。 決め方は別の記事に書きました。