2026年9月29日

撮影料に何枚含めるか ── 全部渡すか、選んでもらうか

「全部込み」と「選んで追加購入」は、どちらが得かではなく、どちらの揉め方を受け入れるかの選択です。両方の詰まり方を並べます。

撮影料 30,000 円で、データは全部渡すのか。 10 枚だけ渡して、残りは追加で買ってもらうのか。

どちらにも詰まり方があります。「どちらが儲かるか」より「どちらの面倒なら引き受けられるか」で決めたほうが、後で楽になります。

全部込み+説明が 1 行で済む+金額の話が撮影前に終わる+納品が速い−失敗カットまで渡る−選別の手間が全部こちらに−単価を上げにくい選んでもらう+欲しい人だけが払う+撮影料を据え置ける+失敗カットを見せずに済む−「結局いくら」に答が要る−選ぶ手間をお願いする
どちらが得かではなく、どちらの面倒を引き受けられるか。

全部込みにする場合

良いところ

  • 説明が 1 行で済む。「撮った分は全部お渡しします」
  • 追加請求が無いので、金額の話が撮影前に終わる
  • 納品が速い。選んでもらう時間が要らない

詰まるところ

失敗カットまで渡すことになります。目をつむっている、ピントが甘い、構図を外した。 そういうものが混ざったまま手渡されると、 「この人の写真はこんなものか」という印象が残ります。

選別してから渡す運用にすると、今度は選別の手間が全部こちらに来ます。200 枚から 80 枚に絞る作業を、撮影のたびに無償でやることになります。

そして単価が撮影料に埋まるので、上げにくい。「今年から 35,000 円です」は言いにくいですが、 「追加は 1 枚 500 円です」なら受け入れられやすい。

選んでもらう場合

良いところ

  • 欲しい人だけが追加で払うので、押し売りにならない
  • 撮影料を据え置いたまま、1 件あたりの売上を伸ばせる
  • 全部渡さないので、失敗カットを見せずに済む

詰まるところ

「結局いくらになるの」と聞かれます。ここに答えられないと、その場で決まりません。 まとめ買いの価格や全データの価格を先に用意しておく必要があります。

それと選ぶ手間をお客様にお願いすることになります。150 枚から選ぶのは、楽しい作業でもあり、面倒な作業でもある。 小さいお子さんがいる家庭だと、後回しになりがちです。

間を取る ── 何枚か込みにする

実務で一番収まりがいいのは、この形だと思います。

 内容
撮影料30,000 円(データ 10 枚込み)
追加1 枚 500 円
10 枚パック4,000 円
全データ25,000 円

こうすると、両方の悪いところが薄まります。

  • 必ず 10 枚は受け取れるので、損した感じがしない
  • 追加は欲しい人だけ。売り込む必要がない
  • 「全部欲しい」人には全データ価格という出口がある
  • 失敗カットは選択肢に入れなければいい

込み枚数は何枚が適当か

「これだけあれば最低限は足りる」枚数にします。 少なすぎると、追加購入が前提に見えて印象が悪い。 多すぎると、追加を買う理由が無くなります。

家族写真なら 5〜10 枚、七五三なら 10 枚前後。 記念写真は「飾る 1 枚」と「送る数枚」が要るので、 そのあたりを想定して決めると外しません。

決めたら、撮影前に伝える

一番まずいのは、納品してから「追加は有料です」と伝えることです。全部もらえると思っていた人にとっては、後出しに見えます。

見積もりや申し込みの時点で、込み枚数と追加の単価を書いておく。 それだけで、納品後のやりとりが静かになります。

この記事は、写真の納品・販売サービス Utsurie(うつりえ) が書いています。込み枚数を設定して、その範囲内なら代金が発生しない 形にも対応しています。関連して 写真 1 枚の値段をどう決めるか もあわせてどうぞ。